一億総活躍社会という物語の復権
思考 - 2015年10月25日 (日)
人を惹きつける物語とは
広く全体が共有する価値観によって
概ね合理的と思われているストーリー
それを物語と呼んでみる


これまでの人生 何十年という歳月を
そこそこ楽に過ごしてきた
この物語の枠の中で暮らしてきたからこそ
そこそこ楽に過ごせたような気がする
あらかじめ決められたルールに従いゲームを行い
ゲームに勝つことで歩みを先に進めてきた
歩みつつも、この物語を信用していなかったから
いつの日か降りることを早い段階で意識した

この物語の中ではお金はとても貴重なアイテム
刹那的に享楽をしている人や
大きな買い物をする人の気が知れなかった
物語を歩む過程で様々なゲームが用意されている
そのゲームの中で
承認欲求を満たしたり
自己実現を果たしたり
欲しいものを手に入れたり
勝ち残ることに自己陶酔したり
楽しそうなイベントが用意されているから
そこそこ続けられるわけだけど
そんなゲームにもいつかは飽きてくる
そもそもゲームをすることが目的ではない
でも、長年 この物語の中で過ごしていると
そのことが目的のように感じられてしまう
物語から外れてしまうことに恐怖を感じる
昨今 この物語は人々を魅惑するような
希望に満ちた存在でもなくなってきた
シナリオに従ったところで報われない人も増えてきた
コスパが悪いと気づき始める人も増えてきた
物語のシナリオは随分と変容してしまった
でも、この物語は依然として無難な位置を失っていない
下流老人、下流中年、相対的貧困を材料として
物語の再構築を目指している人がいる一方で
それでも安心を求めて寄らば大樹としての
物語に寄り添って暮らすことが
無難な選択として、崇めている人もいる
物語を支える人が少なくなれば
至る所に歪が出て、物語が瓦解してしまう
これからの少子高齢化社会を運営する
為政者の立場からすれば
なんらかの強固な物語を必要としている
物語が明確な方が、人々を動員しやすい
一億総活躍社会に代表される政府施策は
弱体化した物語の復権がコンセプトなのかもしれない
人生の〈逃げ場〉 会社だけの生活に行き詰まっている人へ | ||||
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